西洋古典学への誘い

中務哲郎:西洋古典学を学べるサイト

 2023年度獨協大学における大会では、研究発表の後に「西洋古典学とデジタル・ヒューマニティーズ」と題するフォーラムが開かれ、デジタル技術を活用した新しい研究方法の可能性と問題点について議論がなされた。ウェブ上には研究者にとって必要不可欠のアーカイブやデータベースが多数公開されているが、一方また、これから西洋古典学を学ぼうとする人たちにとって有益なサイトも存在する。私はコンピュータ利用が甚だ不得手で、目の前にある宝の山にも気づかない人間であるが、たまたま最近、そのようなサイトを教えられたので紹介したい。

 一つは「京大式・聖書ギリシャ語入門」。

 https://www.christiantoday.co.jp/topics/kyodai-shiki-bible-greek-for-beginners

 宮川創氏(北海道大学、京都大学、ゲッティンゲン大学等でギリシャ語文献・コプト語文献を研究)と福田耕佑氏(京都大学、テッサロニキ・アリストテレス大学で近現代のギリシャ思想史・文学を研究)が主宰するもので、聖書のギリシア語を読めるようになることを目的とする講座である。漸進的に文法学習を進めながら、折りにふれて学習をサポートするウェブサービスなども紹介してくれる。

 もう一つは「おこしやす!西洋古典叢書」。

 https://www.youtube.com/@booksalon396

 これは京都大学学術出版会が提供するYouTube動画であるので紹介をためらったが、広く西洋古典学への導きとなるものと思えるのでここに並べる。國方栄二氏(編集者、哲学)の講義のようなスタイルであるが、「天の回」では西洋古典とは何か、テクストはどう作るかといった基本的な事柄を、「地の回」では具体的な作品を解説し、「人の回」ではゲストと対談する。

 学会ホームページでは「古典学道しるべ」のページを設け、ギリシア語ラテン語を学べる教室や研究支援サイトを紹介したり、インタネット利用のアドヴァイスを行なったりしてきたが、他にも西洋古典学を学べるサイトに気づかれた方はHP運営委員会までお知らせ頂ければ幸いである。

 (中務哲郎)