西洋古典学への誘い

チエシュコ マルティン:西洋古典学とインタネット利用(第3回)

 9月にアテネのBlegen図書館を利用することができました。今回は世界レベルの図書館が利用できない若手学者を意識して、いくつかのサイトを紹介します。 フランスで書かれた博士論文をwww.diffusiontheses.frから、イギリスの博士論文はhttp://ethos.bl.uk/Home.doから注文できます。もっと安い方法はアカデミックなFacebookとも言えるwww.academia.eduに登録して、海外の若手学者とのネットワーキングを始めることです。同じ分野の研究者とも知り合えますし、自分の論文をアップロードしたり、ほかの研究生の論文や学会発表、授業用の資料などPDFファイルでダウンロードしたりすることができます。同じ専門の学者同士とのネットワークが今のところ一番魅力的な点でしょう。

 日本だけではなくて、ハーバード大をはじめ、どこの図書館でも、価格の高い学会雑誌の購入を考え直している状況のなか、学者が自分の研究を無料で提供する運動が勢いを増しています。オープンアクセス研究を提供している先生の一人 はバークレー大のDonald J. Mastronarde教授です。教授のHPからエウリーピデースの古注(Scholia)のオンラインプロジェクトや1979年版のContact and Discontinuityの無料デジタルバージョンのリンクがあります。こういう運動が始まったばかりなので、資料がまだ乏しいのですが、時間の問題だけです。

 無料で利用できる資料といえば、オックスフォード大学のBeazley Archive ( https://www.beazley.ox.ac.uk/xdb/ASP/default.asp ) の壷絵のデータベースを忘れてはいけません。Search the database without loginから入って、Decoration Descriptionの右にあるThesaurusをクリックして好きなキーワードを選択して、ページの下にあるImagesを押せば、写真と詳しい説明つきのデータベースが開かれます。写真をクリックすればするほど解像度が増えるので、肉眼では見えないデテールまで観賞できます。

チエシュコ マルティン(京都大学)